思いのバトンをつないで――産後ケアが教えてくれた“私を取り戻す”時間
- かおり 永野間
- 4 日前
- 読了時間: 4分
前編では、「世界早産児デー」に寄せて、早産を経験した産後女性たちが「産後ケアバトン制度」を通じて自分のための時間を取り戻した体験を紹介しました。
後編では、さらに2人の産後女性の声を紹介します。
早産のあと、心身の疲労を抱えながらも、産後ケア教室で再び“自分”を感じることができた方々です。

「疲れた母から、“笑顔の母”へ――バランスボールがくれた変化」
「こどももとても小さく生まれたので、3キロ超えた3ヶ月後に退院してきましたが、風邪などひくと悪化しやすいと聞いていたので易々と外出もできず、家になるべく引きこもっていました。自律神経も乱れ、寝不足、疲労、体力不足と腰痛もあったので、ストレッチしてみたり、整体、鍼灸、整形外科など夫が帰ってきた後通ってみましたが、大して変化はありませんでした。疲れた母でした。愛想笑いがやっとでした。
たった一歩、「バランスボールを始める」ということで私の日常が変わり出しました。運動が好きな私にとっては、バランスボールをするということで既に個の私と向き合う機会となっていました。
肩こりやたまにの頭痛はありますが、毎日身体に不安がないというのが、毎日笑顔の母には第一条件で必要なんです。やりたいことはそれからいくらでもできます。とても良い機会になりました。他のお母さんがたとも話ができる良い機会になりました。とても良い経験になりました。寄付者の皆さんありがとうございました。」
早産や長い入院のあとの日々は、どうしても「守る」ことに意識が向きがちです。
けれど、バランスボールを通して身体を動かすことで、「守る」から「動く」へと気持ちが切り替わっていく。
体力を取り戻すだけでなく、自分自身を取り戻すような時間だった――そんな言葉が印象的です。

「“私が利用していいのかな?”から、“すべての母に必要なケア”へ」
「産後ケア」は、助産師に乳房のケアや授乳指導をしてもらうなど直接的なケアや、悩みを抱えている母親への支援をイメージしていました。
今回、産後ケアバトン制度の対象になるとのことで受講させていただきましたが、早産で低出生体重児を出産し1か月半入院をしていたことには該当していましたが、すごく困って悩んでいることはなかったので、私が利用させてもらってもいいのかな…という気持ちでした。
しかし、今回、産後ケア教室を利用させていただき、身体を動かすこと、自分自身について考えることも産後ケアであり、早産で出産して大変だったことを話すことで、産後困っていることはないと思っていましたが、自分自身の気持ちを整理することもできたように感じます。
出産後の母親みんなに産後ケアは必要で、日々の子育てで忙しい中でも自分自身の産後ケアをすることは大切なことであり、それを知ることができた良い機会となりました。
教室に参加することで、私の生活は良い方向に変化したと思っています。
寄付者の皆様からいただいた「思いのバトン」をしっかり受け取らせていただきました。私もまた、そのバトンを繋げていくことができればと思っています。ありがとうございました。
「困っていないのに支援を受けていいのかな」――
そんな迷いを抱く方は、少なくありません。
けれど実際に受講してみると、身体を動かし、自分の気持ちを整理し、同じ立場の仲間と出会うことが、
“支援が必要かどうか”という枠を超えて、母として、人としての回復の力になる。
この方の声には、その気づきがあたたかくにじんでいます。

「思いのバトン」を、次の母へ
寄付によって支えられている、産後ケアバトン制度。
そのバトンは、確かに受け取ったお母さんたちの中で息づき、
「次は私が誰かを支えたい」という思いへとつながっています。
早産や長期入院を経た母たちの声は、決して特別なものではありません。
どんな母も、どんな家族も、産後に“自分をケアする時間”を持っていい。
そのことを、あらためて思い出させてくれます。
11月17日の世界早産児デーに寄せて――
早く小さく生まれた赤ちゃんと、懸命に向き合うご家族、
そしてすべての産後の母たちへ。
思いのバトンが、これからもやさしくつながっていきますように。









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