世界早産児デーに寄せて――早産を経験した産後女性たちが語る“産後のケア”の意味
- かおり 永野間
- 11月12日
- 読了時間: 3分
11月17日は「世界早産児デー(World Prematurity Day)」。

世界中で、早産や低出生体重児について理解を深め、早く生まれた赤ちゃんや家族を支えるために社会全体で考える日です。
日本でもこの時期、紫色のライトアップが行われ、早く小さく生まれた命を包むやさしさの色として街を照らします。
早産は、妊娠22週から37週未満で出産することを指します。
医療の進歩により小さく生まれた赤ちゃんのケアは整っていますが、退院後の生活にはまだたくさんの不安や負担が伴います。長い入院、頻繁な通院、感染への心配――そして、わが子を守るために外出を控えるうちに、母親自身が孤立しやすくなることも少なくありません。

認定NPO法人マドレボニータでは、そうした母たちにも安心して「自分のケアを取り戻す時間」を持っていただけるよう、受講料の一部を寄付でまかなう 「産後ケアバトン制度」 を運営しています。
この制度を通じて、早産などの事情で産後ケアが必要な方が経済的な理由で諦めることなく、産後ケア教室に参加できるようになっています。
今回は、早産の事由でこの制度を利用し、マドレボニータの産後ケア教室に参加した方々の声を紹介します。
「双子を連れて外に出る――重かった“一歩目”が、私を前に進ませてくれた」
「双子を連れて電車に乗り、慣れない場所でのオムツ替えや授乳、しかもそれを自分自身のためにやるなんて、育児初心者には最初の一歩がとてもとても重かったのですが、皆様のサポートがあることでハードルが下がり、実りある時間を過ごさせていただきました。
この成功体験を糧に、育児しているから、双子だからと尻込みせず、これからも外に出たいと思います!そしていただいた優しさを、いずれ何らかの形で次のかたに引き継いでいきたいと思います。」
赤ちゃんを2人連れての外出――それはどんな母にとっても、想像以上に勇気がいることです。
「自分のために時間を使うなんて」と迷いながらも、支援の手があったことで、ほんの少し前へと進めた。
その小さな一歩が、自信と希望の光になりました。

「わが子を第一にしていた私が、“自分をケアする”大切さを思い出した」
「娘は超低出生体重児として700gで生まれました。
入院中から退院後も、医療者や制度に支えられながらも、自分のケアはおざなりになっていました。
しかし、この制度のおかげでセルフケアの大切さを改めて体感しました。
制度がなければ、自分のためにお金や時間を割いて参加することはなかったと思います。
たくさんの温かい支援に支えられマドレボニータの教室に参加でき、心身ともにとても軽くなりました。」
早く生まれたわが子の命を守るために、母はときに自分のことを後回しにすることも。
けれど、母自身の心と身体が整うことは、子どもにとっても大きな安心につながる――。
そのことに気づかせてくれたのが、「自分のために参加する産後ケア」だったと語ってくださいました。

「特別な誰か」ではなく、「すべての母に必要なケア」
早産という経験は、ひとりひとり状況も気持ちも異なります。
けれど、共通していたのは、「自分の身体と心に向き合う時間を持てたことが、確実に生活を変えた」という実感でした。

👉 後編では、さらに2人の早産を経験した産後女性の声を紹介します。
バランスボールとの出会いが日常を変えた方、
そして「私が利用していいのかな?」という迷いを超えて気づいた“ケアの意味”をお届けします。








コメント